Tokyo Programmers Summit No. 2: Industry programmers go off the rails discussing malicious OS fairies and how gamers actually play RPGs
昨年のプログラマーズサミットから約10ヵ月がたった。あれからいくつかのパソコンが世に送り出されてきたし、またソフトもおもしろいものがたくさん出てきた。そのなかにあって、サミットのメンバーたちはいまだに第一線で元気に活躍している(スケジュールのつごうで多少メンバーがかわってるけど今でもみんなサミットのメンバーです)。いま、サミット(頂上)にいるプログラマーたちは何を考えているのか!
第2回サミット参加者
木下聖雅
システムソフトの企画はすべてこの人の頭の中に入っている。センスのいいパッケージやマニュアルのデザインには木下さんのデザインが光っている。
小松田裕一
『ぎゅあんぶらあ自己中心派』のメインプログラマー。『自己中』の最終チェックで会議の前日は徹夜。お疲れのところありがとうございました。
加藤久人
ポプコム読者でなくとも、パソコンゲーマーならだれでも知っている。『ザナドゥ』『エリュシオン』の同時進行レポートには、カルト的ファンも多い。通称J.D.。
細川勝男
T&Eソフトの開発部長。ご存じ『レイドック』の生みの親。『ディーヴァ』のFM77AV版、MSX2版の開発も手がける。
木屋善夫
ご存じ『ザナドゥ』の作者。『ザナドゥシナリオⅡ』『ロマンシア』とヒット作品を作り続けている。現在、新作にとりかかっている。
小林直樹
編集部Kとは私のことです。去年からまたさらに太ってしまいました。みなさん、おいそがしいところほんとうにありがとうございました。
宮路洋一
ゲームアーツの社長。『ぎゅあんぶらあ自己中心派』の企画、プログラミングも手がけている。SFのボードゲームのマニアとしても有名。
福田史裕
システムソフトのメインプログラマー。『エリュシオン』の作者である。彼も、ボードゲームのファンの一人。その軽妙な語り口には人をひきつける魅力がある。
小林先々月木下さんに教えてもらった『上海』のAMIGA版をやったんですけどね、編集部でやってたらみんな夢中になったって、おかげで先月号の締め切りはかなり遅れましたね(笑)。いくら考えてもできないやつってあってね、最後は、みんなで図までかいてああだこうだと議論したりして、やっと、ああ、これはぜったいできないのもあるんだって、わかったんです。何日徹夜したかなあ(笑)。
福田あれ、じつは牌のならべ方については、そういうの全然考えてないみたいなんですよ。『上海』には、絶対とれなくなるパターンがいくつかあるんです。なかでもいちばん単純なのが、同じ牌が3つ縦にならんだときなんですが、これに関してもあらかじめそうならないようにならべるっていうことをしてないんです。それで、ほんとうに解けるのかどうかの不安がつねにあるというのもこのゲームの醍醐味だろうということで、移植版も単にシャッフルするだけにしたんです。
木下うちでは仕事中、けっこう大胆にみんなやってたんですけどね、総務と経理でマウス1台ずつこわされましたよ(笑)。
福田今に仕事中上役の目を盗んでできるようにというので、何かキーを押すとDOSにもどるとかいうの作られそうだな(笑)。
木屋ああ、そういえば、そういうのアダルトソフトにありましたね。おかあさんが来るといきなりBASICにもどるってやつ(笑)。
小松田それから、『ローグ』にもありましたね。!を押すとDOSにもどって、EXIT押すと、また『ローグ』にもどるの。
J.D.それの逆になるんですがOSで遊べるというのもおもしろいですよね。いまこういうの考えているんですよ(ページ166にあるぞっ!)。OSで、カーソルを育てないと使えないってやつ(笑)。
木屋あ、それうちの『ザナドゥ』のマップエディターにありますよ。キャラクター育てないとマップ作れないんですよ(笑)。つまりね、ゲームは、もうマップ作る前から始まっていて、キャラクターが動いて、マップ作っていくんだけども、途中で、モンスターとかが出てきて、負けちゃったりして、死んじゃうと画面にぱっとローディングデータとか出て、古いデータ読みこんじゃうんですよ(笑)。そうすると、今まで作ってきたマップが全部パーになっちゃうの。だから、うちじゃ必死になってエディターを鍛えてますよ(笑)。
福田ぼくね、一時期ジョイスティックモードのあるエディターって作ってみようと思っていたんですよ。ジョイスティックで操作しながら、エディットするんだけども、時々、インベーダーかなにかがぴょぴょっと出てきて、作っているものを破壊してまわって、それが出てくるとあわてて迎撃しちゃわなきゃならないとかね(笑)。
J.D.ぼくが考えているOSもそう。未熟な人が操作すると、死んじゃうとかね(笑)。
細川そしたら、OSでも自慢できますねー。「おれのMS-DOSは、強いぜ!」とかいって(笑)。アプリケーションソフトに負けちゃったりして、「まだまだ修業が足りないなー」なんていわれたりしてね(笑)。
宮路いや、そしたら呪文を覚えるんですよ。復活の呪文とかね(笑)。
福田妖精かなにかを、DOSの画面のなかに割りこみで動かしといて、作業していると妖精がAとかBとか文字を持っていっちゃうんですよね。「ああー、それだめー」とかいって(笑)。あともう1つやりたいと思ったのがね、ディスプレイがついているかどうかって、よくわかんないでしょ。で、妖精を見ようとして、本体だけ動かしておいてしばらくディスプレイのスイッチを切っておいて、しばらくして、パッとつけると、あわてて、妖精が逃げていくってやつなんですけどね。
J.D.ああ、それいいねー。
細川かわいいね、それ。
木屋それで、魔法使いがいて、アセンブルをしていると、バグを入れていくって?(笑)
福田いちばんこわいのは、何かっていうと妖精の相手をしてやらないと、なんかどっかで見たことがあるようなファイルネームをひっこずって飛んでるんですよ、それで、あれーっとかいってぱっと見てみるとディレクトリーがなくなっているとかね(笑)。
木下そういうソフト出したら、どうなるんだろうね、「ディスクをこわすことがあります」なんて書いておかないとね(笑)。
宮路でもそれやると、プログラマーに自己逃避の機会をあたえちゃうからだめですよ、「このバグどうしてできたの?」ときくと、「きっと、小人さんが持って来ちゃったんだー」(笑)なんていいますからね。
福田理想としては、妖精さんに親切にしていると、朝会社へ来るとバグがとれているという形なんですけどね(笑)。
小林こういう話を聞いてるとOSの世界のほうが楽しいみたいですね。
木屋大型コンピュータの世界なんかでもけっこう遊んでいる人いますよね。うちの社長、アメリカでコンピュータ使ってたこともあるんですけどね、向こうじゃ、たとえば女の子のオペレーターが、誕生日の日なんかに、彼女が、朝出社してきて端末の電源入れると「ハッピーバースデー」なんて表示されるようにしておくとか、けっこう遊んでるみたいですよ。
福田ぼくも学生のころ、コンピュータの端末で、いろいろ遊びましたよ。友だちで、失恋したやつがいてね、そいつの端末のスイッチが入ってIDカードが入るとね、でっかいハートのマークが飛んできて、それから、2人の名前が入って、ハートがばっとこわれるやつとかね。わざわざ一晩かけてつくった(笑)。
宮路えらいっ!そりゃえらい!(笑)むかしパソコンでも結構そういうの流行していたんですけどね。たとえば、にせBASICとかいってね。
小林パソコンゲームの世界ももっと自由に遊べる環境をつくってほしいですね。ユーザー側がある程度その世界で勝手に楽しむことができるのっていいですね。
J.D.どれだけ遊べる環境をそのゲームの世界のなかにつくってくれているかっていうの重要でしょうね。つまり、どれだけ、自由度の高いものができるかというところが、ゲームのよしあしにまで関係しているようなね。
木屋うーん、でもそれはだめだと思いますよ。
福田やっぱりね、自由度をもって遊ぶという人が少ないんですよね。
木屋やる人によって、いろんな攻め方ができるよっていって、提供してあげても、結局みんな目的に向かって突進するだけみたいなのありますよね。だから、ゲームの作り方も、勢いそういったユーザーにこびた作り方をしていっちゃうみたいなところありますよね。ぼくは、それきらいなんだけど、今までそれをしないで苦い思いをしたことが何度もありますね。もうこれは、ユーザーの態度の問題だなってね。
木下そう、そこに行き着きますね。とにかく、早く解いて、エンディングを見ちゃったらもうそれで見向きもしないっていうパターンに。
細川エンディングを見ることしか頭にないんだよね。
J.D.そのほかの遊び方をせっかく提供してあげてるのにやってくれないっていうのありますよね。
福田ゲームの種類にもよるんですけど、とくにRPGなんていうのはそういった意味で矛盾しているところがあるんですよね。
木屋そう。RPGなんてのは、本来目的なんてものはないはずなんですよね。
福田自分が演じること自体がゲームなのに目的達成のほうが優先されてしまうってのが、現状でしょうね。
木屋だから、いくら自由度の高いもの作っても、必ず何らかの目的をあたえなきゃいけないってことがあるんですよね。
宮路それは本当はおかしいことなんですけどね。やっぱり、テレビがいけないんでしょうかね。テレビのせいで、人間が受動的になっているみたいだね。
木屋あと、自分が一番だってのいいたいんですよね。だから、ゲームの中で役割にひたってたりしたら一番になれないってわけね。
福田本当の一番っていうのは、その世界をどれだけ楽しんだかっていうところにあるのに、「何時間で解けた」とか「発売後、何日で解いた」とかね、まあそれでも一つの遊び方ではあるけれど、本来の楽しみ方をしていないと言えるでしょうね。
木屋『ウィザードリィ』で、レベル1000ぐらいまでいくやつとか、わけのわかんないやついるでしょ。これは、ほんとうはわけわからないことをやってるみたいだけど、こういうやつのほうが、『ウィザードリィ』の世界をいちばん楽しんでるわけなんだよね。ワードナたおさなくったってレベル1000のやつのほうがその世界ではえらいわけなんだよね。
福田満100歳なのに、レベルが1とかね。
宮路ほんとは、そうやって遊び方を教えていくってのおもしろいんですよね。『ウィザードリィ』には、そういうことできる可能性かなりあるんだけど、ワードナたおしちゃったらそれでおしまいっていう人が大多数でしょうね。
木屋それでいながら、必勝本買ってそれ見て解いて、「解けた解けた」って喜んでるんですよね。よくわかんないね、こういうのって。
J.D.いま、ぼく『ローグ』普及運動やってるんですけどね、あの文字のキャラクターそのまま使っているから、なかなかやる人ふえませんね。
小松田ぼくなんか逆ですね。マック版の『ローグ』ってあるでしょ、あれは、キャラクターが、ビジュアルになっているんですけどね、のめり込めませんね。あのAとかBとかのほうが好きなんですよね。
J.D.想像力で勝負しようっていう世界ですね。
福田自由度の高い、広大な世界のゲームを作ってみたいですけどその前にユーザーの人たちが、もっと自分から遊ぶ技みたいなものを身につけてほしいですね。
木下そうそう。もちろんわれわれのほうから、そういう遊び方やなんかも提案してくってことも必要ですね。
J.D.うん、そういう意味では『ぎゅわん自己』なんかは、遊び方提供派の極致ともいえますねー。RPGじゃないけど、あれ役を演じるって意味ではすっごくRPGしてる。
宮路そうね。よし、今度はタコ麻雀に徹しようっ!とか。
小林「黄金の一発」ねらいに走るクリスチーネ小林とかね。
J.D.ぎぼぢわりー!でも、こんなソフトがふえると、なんかこうソージョーコーカみたいのでね、いろいろ活気づいてくんじゃない?とかなんとか、結論が出たことで、次行こう次!(おわり)