Koshiro Yuzo and Matsumae Kimitaka talk video game music and creation process
今月は、なんとも異色の顔合わせ!パソコンゲーム作曲者として有名な古代祐三氏と、ゲームミュージック寄りの音楽人松前公高氏(EXPO)の2人を迎えての座談会だ。
松前公高
いわゆる「普通の音楽畑」の人。実験音楽などを好む。キーボーディストとして、ライブハウスでのバンド演奏や、多重録音などを続けているうちに、「自分はもしかしたら、意外とゲーム音楽的なことをしているんじゃないか?」と思いはじめ、そうこうしているうちに、EXPOを結成。アルファ、ポニーキャニオンのVGMレコード製作にも参加している。
ゲームの曲もいくつか作っているらしいが、どのゲームかは「忘れちゃったよ」(本人の弁)。しかし極秘に入手した情報によれば、現在も某社の某ゲーム機用某ゲームの曲を作っているらしい。さあ、みんなでどの曲か探してみよう!(『EXPOの万国大戦略』と聴き比べればわかるかもしれない)
古代祐三
通称YK-II(本人いわく「死語です」)。インベーダー以前からのゲームフリーク。シューティングを好む。
ゲームミュージックを作るようになったのは、高校3年のとき、電波新聞社の「ゲームミュージック・プログラム募集」に『ドルアーガの塔』の曲を88SRで作って応募したことがキッカケ。それ以降ゲーム音楽のプログラミングを続けているうちに、立川のファルコムの店(家が近いのだそうだ)で「音楽担当者募集」という貼り紙を見つけ、応募、採用。アルバイトで『ザナドゥ2』や、『ロマンシア』オープニング、『イース』、『イースⅡ』、『ソーサリアン』などの曲を作る。今はファルコムの仕事はしていないそうだ。
古代クン(古代クンは当年とって20歳!ボクより2つ下なのだ。「クン」て呼ばせてね)はボクのゲーセンの仲間の中学時代の友人の高校時代の友人ということで(ややこしい!!)、新宿の某ゲーセンで偶然出会ったお人。
松前さんは、8月号YASが書いてたm&aという音楽ネットで出会ったお人。
その2人を引き合わせて、話をさせてみたらおもしろいんじゃないか?そうした考えから実現したのが今回の企画。さてさて、どんな話になることやら‥‥!?
ゲーム音楽って、普通の音楽と何が違うんでしょ?
松前最初っから難しいねぇ(笑)。現代音楽にある、偶然性でどこに飛ぶかわからない音楽というのに似てる気はするけど。やっぱり映画のサントラ的に、画面がメインで、画面を引き立たせるように作らなければならないのが大きいのかな。
古代作り方がまったく違うんじゃないかな。
かく言う古代クンは、どうやって曲を作っているの?使う楽器とかは?
古代使うのはキーボードだけど自分の部屋ではキーボードとコンピュータが離れたところにあるって、面倒だから直接コンピュータで入れてる(笑)。
松前エディタで?
古代いちおう、僕が作ったエディタがあって、そこにMML(BASICのPLAY文のようなもの)で打ち込んでいく。
ーーじゃあ、楽器で曲想を十分に練った後、コンピュータに向かう、というやり方なんだ。
古代いや、そうするときもあるけど、全然そうしないで、最初っからコンピュータに向かっちゃう場合もある。そっちのほうが多いかな。キーボードで弾くと、たいがい当たり前のメロディアスな曲になってしまうけど、それよりは、直接コンピュータに打ち込んでいったほうが、突発的に変な音が入る感じで、おもしろい曲になるから。
松前それは、シーケンサーが普及してきた時に、普通の音楽の世界でも言われたことだね。絶対ピアノでは作曲できない曲とか、楽器のテクニックに縛られない音楽。シーケンサーが一般化した今では、そういった意味での「普通の音楽とゲーム音楽の差」というものはなくなりつつあるんじゃないかなあ。
ーーでも、ボクも趣味で、シーケンサー使ってコンピュータ音楽を細々とやってるからわかるんだけど、やっぱりコンピュータ上で直接作ってっちゃうというのはスゴイ。コンピュータ時代の申し子!絶対音感!!
ときに、古代クンの音楽歴は?
古代親が音楽する人だったから小さい頃はピアノとかヴァイオリンを習ってたけど、自分で作曲しはじめたのは、コンピュータ使いはじめたのと同時期。
ーーうーん、蓄積されていた知識才能が、コンピュータを得ていっきにハジけたんだ。
松前これから、そういう人が増えてくるかもしれないね。
松前さんはGSMでマニピュレータをしているということなので、そのあたりの話を‥‥
松前前にGMOでEXPOっていうバンドをやってて、その関係で、最近は『ニンジャウォーリアーズ』とか『ギャラクシーフォース』のアレンジ曲のコンピュータ操作、つまりマニピュレータの仕事をしている。
ーーボクは『ギャラクシーフォース』を聴いて、あのスペハリのアレンジなんかに、松前さんのEXPOカラーみたいなものが出てると思ったけど‥‥。
松前いや、アレンジはほとんどセガの人。僕はシーケンサーに打ち込んで音色を入れるだけでプロデューサーの国本さん(2月号ランダムトーク参照)の指図で動く、ただの下っ端(笑)。
古代セガのアレンジといってもアレンジしようがないでしょ。
ーーあの曲想は変えようがない。
松前昔、GMOの『もえろツインビー』で、僕もアーティストの立場でアレンジをしたことがあるけど、そうすると、作曲者の表現したいことと食い違っちゃったりする。今回は、できるだけ作曲者の意思を尊重しようということで‥‥。
古代あるある。僕も『ソーサリアン』のヘヴィメタっぽい曲がアレンジで全然違うプログレっぽいものにされちゃったことがあって、「これは勘違いしてるぞ!」とか思ったり(笑)。
ーー昔のゲームの曲のほうがアレンジ素材としては使いやすかったのかな。そういう意味で、普通の音楽的なセガの曲は、アレンジャー泣かせだってわけか。
松前でも、なんで最近のゲーム音楽は、普通の音楽に近づいていくのかなあ?ずっとゲームのフィールドにいる人は、ゲーム音楽を普通の音楽に近づけていきたいんだろうけど、僕らからすれば、ゲーム独自のPSGとかそういうものを、なんで捨てちゃうのか?とか思ったり、貴重なものだから、ぜひ保存しておいてほしい(一同爆笑)。今の方向が悪いわけじゃなくて、単に僕の個人的な好みだけど。
古代でも、セガの曲はおもしろい。とくに、サンダーブレードだったか、チョッパーベースばっかり出てきて、チョッパーでラップみたいにやってたりして友達と大笑い。「あんなの絶対弾けねーよー!」とか(笑)。音楽的な遊びができるってのは、いいことなんじゃないかな。
ーーたしかにセガは、今までにない方向、普通の音楽的な方向に遊びの領域を広げていると言えるのかもしれないね。少なくとも、ボクはファンキーさんの曲は大好きです!(キッパリ)
よく言われている「ゲーム音楽は制限の多い音楽だ」について、どう思いますか?
松前制限されているっていうのはゲーム音楽だけのものじゃなくて、たとえばCMだったら30秒以内だとか。けっこう制限があったほうが、いいものを作れるということがあると思う。
古代クンは、ゲーム音楽ならではの制限に不満を感じない。
古代うーん。制限を外れて作ったことがないから、なにが制限なのかよくわからない。
ーー!!
古代とちゅうでプログラマーから注文がきたときなんかは、その都度自分でプログラムを作り直す。
松前じゃあ、あまり不満なんてのはないんだ。
古代不満っていうんじゃないけど、ゲーム音楽には「手弾き感覚」っていうのがないから、1チャンネルでもいいから、自分で弾いたものを入れたい。そういうことを考えている。
松前1秒を60に分割できるんだっけ。有限ではあるけれど十分な分解能だから、スゴいデータを作れば手弾き感覚も入れられるはずだよね。でもそれなのに、ファミコンなんかの音楽でよくないヤツだと、1秒15にしか分割しないとか、手抜きしてる。音だってPSG3つにノイズ1つFM1つ使えるんだから、使いきれば、いくらだってディレイとかの効果が出せる。なのにやってない。聴いてて「アタマ悪いなあ」って思うもの(笑)。
ーー具体的にどのゲームのこと、実名あげてもかまわないから。
松前つまらないゲームなんかいちいち覚えてらんないよ(笑)。
古代手抜きっていうより、音楽に対する意識が低いんじゃない。
松前『イース』って、FM6音?
古代FM3つに、PSG3つ。
松前とてもそれだけの物とは思えないほど、よく駆使してるね、フルに使い切ってる。
ーーじゃあ、松さんの真似で言うと「頭いい」んだ(笑)。
古代僕は、コナミが好きだからかもしれないけど、『魂斗羅』とか『ニコル』はウマいと思う。
松前任天堂なんかも、うまく使ってるね。『メトロイド』とか『ゼルダ』からかなあ、ピッチベンド(連続的に音程を上下させること)使い始めたのは。あれは目からウロコが落ちた。
古代LFOでも音程揺らせるし。
ーーつまり、制限内で、やろうと思えばいくらでもできる。それをやらないのは「頭悪」くて、やるのは「目からウロコ」というわけですかね。
松前ハード的な制限じゃなくて自分で制限つけちゃってるんだ。ヘンなことは。