Kiya Yoshio discusses his dislike of RNG and the mechanics behind Sorcerian

超伝道の4人目は、ゲームデザイナーの木屋さん。自作のゲームのことや、これからの展望などをうかがってみた。終始、冗談まじりに話す木屋さんは、やっぱりスゴイ人だった。

今回は、あのドラゴンスレイヤーシリーズを作った、日本ファルコムの木屋さんに、ゲームを作るときの苦労や、今まで作ったゲームのバックボーンについて聞いてみた。

我流子ところで、木屋さんのお作りになった最初のゲームというのは?

木屋第一作目は、シミュレーションウォーゲーム(?)のギャラクティック・ウォーというやつなんですよ。宇宙戦争のゲームで、自分の母星から宇宙船を飛ばして、敵の空母や戦闘機と戦うゲームです。

我第2作目はなんというゲームだったんですか。

木屋ベーシックで組んだ、悪名高き「パノラマ島」という、やたらにパッケージの大きなゲームですよ(笑い)。

我ぼくもやりました。でも、パノラマ島には、木を叩いて食べ物を取るとか3D迷路といった、それまでの日本のゲームにないシステムが取り入れられてましたね。やっと今ごろになって国産の他のRPGにも取り入れられてますけど。

木屋あれは、ウルティマのパクリじゃないですか(笑い)?でも日本ファルコムって会社自体が、アップルのソフトを昔から扱ってて、ウルティマとかウィザードリィなどもよく見てたので比較的他のソフトハウスさんより知識があったんだと思いますよ。

我それで次にお作りになった、「ドラゴンスレイヤーⅠ」では、パノラマ島で表現しきれなかった点を、表そうと考えたんですか。

木屋いやぁ、パノラマ島は自分の力がいたらなくて、なんといってもベーシックですからねぇ。アイデアだけ、どんどん大きくなっちゃって自分で処理できなかった。ドラスレの場合は、ゲームの目的をあまり意識しないで作ったんです。まあ一応、王冠を集めてドラゴンを倒す目的があるんですが、ただ目的を果たす以外にもっと違った遊びかたをしてもらいたかったんです。まぁ結果として、わけがわからないゲームという印象与えちゃったんですね。僕としては、敵を集めて攻撃したり誘導するといったいろいろな楽しみを味わえるゲームをと思ったんですよ。

我僕は、パズル的な要素があるなと感じましたよ。どうすれば、あの場所には行けるんだろうといった。

木屋そういうゲームだったんですけど、やっぱり駄目ですね。ウケませんよ。「ザナドゥ」みたいにきちんと目的があって、最後にボスを倒して感動のエンディングがないと駄目なんですね。

我それでは、きちんとした目的があるゲームをということで、ザナドゥが生まれたわけですか。

木屋いえ、ザナドゥの場合は、ちょっと違うんです。まずディスクにどのくらいデータを入れられるかを調べたんです。そうしたら、モンスターは100匹ぐらい、画面数はこのくらいとか、各面の広さはこれぐらいになるとかがわかったんですよ。そしてまず仕様書みたいなものを作ったんです。モンスター何種類、魔法のアイテムが何種類とやっていったらとんでもない数字になったんです。それを他の人にみせたら「こーんなものできるわけない、絶対できるわけない」とか言われて、これはやるしかないと‥‥(笑い)で始めたら意外とかんたんにできたんですね。

我「ザナドゥ・シナリオⅡ」はザナドゥで入れられなかったユーザーの希望を入れようとしてお作りになったんですか。

木屋いえ、あれはドラスレシリーズの一本と考えられていないんです。ただの追加シナリオなんです。シナリオだけ渡す感じだったんですが、結局プログラムの手直しも少ししましたね。

我次が「ロマンシア」だったと思うんですけど。

木屋ドラスレⅠを作ったときに、RPGというとウルティマかウィザードリィの2つしかなくて、目先の変わったやつを作りたかったんです。ドラスレでアクションRPGへの橋渡しをして、ザナドゥで、その頂点を極めようと思ったんです。その後どんどんアクションRPGが出てきてコンピュータRPGの主流になってしまったでしょ。
今度は、謎ときを主体にしてRPGを作ってみたい。アドベンチャー的なRPGを目指してロマンシアが生まれたんです。そうすれば、アドベンチャー的なRPGのいい作品がどんどん出てくるかもしれないと思ったんです。
いやぁ、でももう感覚が古くなってきたから引退ですね(笑い)。

我そんなことはないですよ。だって、ドラスレⅣでも新しい感覚が出てたんじゃないですか。

木屋ドラスレⅣはね、敵が強いのがゲームじゃないんだぞということをファミコンユーザーにも少しでもわかってもらいたかっただけなんです。


我木屋さんの今度の作品は「ソーサリアン」ですね。これは、どのゲームの発展型なんですか。

木屋僕としては、ソーサリアンは、ロマンシア型RPGの頂点に立つゲームとして考えているんです。

我ソーサリアンは、魔法を前面に押し出していますね。今までの木屋さんのゲームを見てきますと、魔法は強力ではあるが大事なものじゃないという感じを受けたんですが。

木屋今までのゲームの魔法って自分がレベルアップしたり、経験を積むことによってコンピュータが特定の魔法を勝手にくれますよね。なんか、ヘンだなっと感じたんですよ。よく、魔術師が一生かけて何とかの魔法を作りあげたというお話ってあるでしょ。だから魔法とは、人からもらったり、強くなったからポロっと手に入ったりするもんじゃないと思うんですよ。自分で作り出すものだと思うんですよ。それもキャストスペルというのではなくて、その物質に魔力をこめるという感じにしたいんですよ。ぼくの考える魔法とは、その物質が持っている力を引き出すみたいなものだと思うんですよね。だから魔法を使う第一回目は、どんな効力を発揮するかも、よくわからないようにしたいんですよ。でもネーミングで大体バレますけどね。
ほかにも薬草の調合など品物の効果もわからないようにしたいんです。とにかく、ゲーム中に何でもできるようにしたいので、バランスを考えるのが難しいですね。

我ところで、木屋さんの場合、どういうプロセスで、ゲームを作っているんですか。

木屋最初に核となる部分をキッチリ作るんです。そこから、とめどなく発想を広げていって頭の中から湧いてくるものをできるかぎり取りこんでいくんです。僕は、プログラマーなもんで、このアイデアは、実現できるとかできないとかの判断が、反射的にできるんですよ。後は、ハードの容量との相談で、ありあまるアイデアをどう整理していくかということですね。とにかく、発想自体で困ることはないんですが、整理する段階でいつも地獄を見てます。

我できることと、できないことがすぐ判断できるのって、すごくいいですね。僕なんかが、ゲームに口出ししたら、これも入れろ、あれも入れろでプログラマーを破滅させますよ(笑い)。ところで、木屋さんが、こんなものなら絶対やってみたいというようなゲームは?

木屋僕としては、コンピュータを使ってゲームしてるんですから、RPGの戦闘結果や宝箱などの配置に乱数を絶対使いたくないんですよね。だって、モンスターとの戦いにしたって、宝箱を置く場所にしても必然的に決定されていると思うんですよ。それにRPGって、自分で判断するゲームでしょ。見えない敵や、戦いたくないときに敵に遭遇してしまうことにも疑問を感じているんです。本当に作りたいのは、自由にゲームができるシステム。たとえば、剣と魔法の世界のRPGのなかでヒーローにわざとならないで町のパン屋の役をして静かに余生を楽しむとかね。一人一人、ヘンな役になりきってパソコンネットかなんかでプレイすると絶対楽しいですよ。

我今日は、ほんとにありがとうございました。

ソーサリアン制作のハードワークで、目を真っ赤にしながらも、軽くてインタビューを引き受けてくださった木屋さん。その頭の中のアイデアの豊富さには、ただただ、驚くばかりでした。