Horii Yuji and Kiya Yoshio's historic summit on Dragon Quest III and Sorcerian
スッポンはカメの一種なのか?その正体も知らないログインが、よーくカメば大丈夫なんじゃない、と始めた世紀の大対談ーー堀井雄二v.s.木屋善夫。はたして日本のコンピュータRPGの頂点に立つふたりは、いま何を考えているのか?これからのRPGのゆくえを左右するアイデアが次から次へと飛び出した、血わき、肉躍るおいしんぼ対談!さあ、読め、すぐ読め!
次期主力RPG大特集のしめくくりは、おなじみドラクエ堀井、ご存じドラスレ木屋の和製RPG二大巨頭対談である。前ページのウィザードリィのロバート・ウッドヘッド、ウルティマのロード・ブリティッシュ対談とあわせて、日米のRPGの第一人者がどーんとそろったという寸法だ。こいつは、はっきりいってなかなかできることではない。
ウィザードリィ、ウルティマ対談は、コンピュサーブを使って行なかったが、こちらのドラスレ、ドラクエ対談は、9月某日、新宿のとあるスッポン料理店にて決行された。おりしもご両名ともドラクエⅢ、ドラスレⅤ(ソーサリアン、以下通りがいいのでこう書きます)の追い込みのまっただ中。スッポンでも食べてもうひとふんばり頑張ってもらいましょうというわけだ。
しかし、不思議なことにこのドラドラ二大巨頭、今回のこの対談が初顔合わせ。しかも、忙しさにかまけて(?)、お互いのゲームは、ドラクエⅠとザナドゥⅠしか経験していないという。世間話も一段落した頃合をみはからって、お互いの新作の製作秘話から水を向けてみた。
堀井ドラクエⅢは、まず初めに箱根で大合宿をやったんです。それが1月頃だったから、もうかれこれ7〜8ヵ月開発についやしていますね。
木屋ソーサリアンの場合は、ドラスレⅣと開発時期が重なっていて、それも合わせると約5ヵ月ってところですね。うち(日本ファルコム)にしては長い方です。
開発スタッフは何名ぐらいなんですか?
木屋ソーサリアンのチームは8人です。グラフィックデザインに4名、シナリオに3名、そしてメインのプログラマーのボクってとこかな。
堀井ひえ〜。プログラマーは木屋さんひとりなんですか。うちと逆だなぁ。うちは20人ぐらいでパーティー組んでるんだけど、シナリオがボクとアシストがもう2名、プログラマーが18名って感じ。
ーーソーサリアンのシナリオって、木屋さんがやっているんでしょ。
木屋それはそーなんですけど、ボクがココはこうしようっていうと、ヘソ曲がりだっていわれて‥‥。なるべくシナリオの細部に口を出さないようにしているんです。でも、8人で机を囲んでいると、あーだこーだ、いつも大議論大会ですね。
堀井うちもそう。もう何かあるたびに大議論。この間なんか遊び人(ドラクエⅢに登場するキャラクターの職業のこと)の存在をどーするかでカンカンゴウゴウ。結局、性格づけをはっきりさせるってことで落ち着くまで一晩かかった。ところで木屋さんのところは、どういう手順でゲームを作っていくの。
木屋はっきりした手順ってのはないですね。とにかくできるところからバンバンやっていっちゃう(笑い)。
堀井うーん。似たよーなもんなのかな。うちの場合も大体のシナリオが決まって、ゲームのシステムが決定したら、あとはどばーって並行処理。
ドラクエⅢ、ソーサリアンは、どんな感じのゲームになりそうですか。
木屋ドラスレシリーズは、シナリオ的に連続していないし、ゲームシステムも毎回違う。同じことは二度とやりたくないんですよね。ですから、ソーサリアンも、これまでとはまったく違ったゲームになってますよ。
堀井ドラクエⅢは、ゲームの目的とはあまり関係のない遊び的要素をたくさん作った。これは笑えるんじゃないかと思うんだけれども、福引き所にかわるものとして、競馬やるよりもコーフンできるものを用意したんですよね。期待してくれていいと思うな。枝道たくさん用意したし、メモリが倍になると内容が4倍ぐらいになっちゃいますね。それがつらいんだけどね‥‥。
木屋ソーサリアンもシナリオを並行にたくさん配置して、マルチストーリー化してる。早解きもいいけど、ソーサリアンはもっと奥深く楽しんでほしいね。
これからのRPGはどうなっていく、いや、RPGの二大巨頭にきくんだから、どーしていきたいんですか。
木屋いま、RPGからどーしたら経験値とかヒットポイントとかを排除できるかに苦労していますね。
堀井RPGってちょっと誤解されていて、成長することがPRGだと思われている。本来はゲーム中の主人公の役割になりきれば、それでRPGなんだよね。たしかに、戦闘して敵を倒すとお金がもらえるっていうゲームシステムは、プレイヤーの欲望を持続させるうまいシステムだと思うんだけど、それが誤解されちゃった感じだね。
木屋そうですよね。いまのRPGから戦闘を取っちゃったら楽しみがなくなっちゃうし、新しいゲームシステムを考えるには、戦闘より面白い何かを与えないといけなくなっちゃう。
堀井これまでのRPGは、それはそれでバランスはとれていたよね。
木屋ザナドゥは、いま考えると異常でしたね。なにしろ初め100点くらいのヒットポイントが最後には600万点にもなっちゃうでしょ。人間ってそんなに変われるわけないんじゃないかって思うんですよね。
堀井さっきもいったけど、RPGって自分がゲームの主人公にどーやったらなりきれるかってのがメインポリシーでしょ。リアルにすればリアルにできるんだけど、その分興味が半減しちゃうんじゃしょーがない。ゲームだから残さなくちゃならないところもあるわけですよね。その上で、自分の人生と違った体験をさせてくれるRPGってのを作りたいな。
木屋そう、これからのRPGは、目的達成までの道すじが一本道なんじゃなくて、よりリアルな世界を楽しませてくれて、遊ぶ人間がとにかくのめり込んじゃうってものにならなければイケナイですよ。
ところで、いまパソコン通信が流行してますが、ネットワークRPGなんてどう思いますか。
堀井ログインで幾度か紹介しているけど、ハビタットね。あの世界がそのままRPGになったら面白いだろうね。24時間ぬけられなくなっちゃう。
木屋そーですよね。ローグだってあれで数人の人間がチャットしながら一度にプレイできたら、完璧にハマるよね。
堀井これまでゲームに登場するキャラクターをなんとか人間ぽく見せようってプログラムしてきたけど、ネットワークならそんなところ手間かけなくてすむし、生身の人間どうしだから面白いに決まってるもんね。
木屋あの街の宿屋のおやじがやりたいとか、武器屋のおやじがやりたいとか、ひとつの世界のなかでプレイヤーができることを一挙に広げられるし、ゲームの自由度も拡大しますしね。
堀井プレイヤー間でライバル関係が成立したり、プレイヤーどうしで戦ったり、情報交換したり。いいねぇ。
堀井・木屋うーむ、いつかネットワークRPGを作ってみたい‼︎